#RubyKaigi 2015 でテンプレートエンジンの高速化について話しました

FamlとHamlitがなぜ高速かについて話しました

RubyKaigi 2015の1日目に、「High Performance Template Engine」というタイトルで発表しました。 @eagletmtさんが作ったFamlと、僕が作ったHamlitがなぜオリジナルのHamlに比べ高速か話しました。

発表は以下のような内容でした。

  • テンプレートエンジンとは何か
    • テンプレートエンジンの例
    • テンプレートエンジンの仕組み
    • パフォーマンス
  • どのようにRubyのコードを速くするか
    • ベンチマークがなぜ必要か
    • プロファイリングの方法
    • 改善の仕方
  • 高速化のために何をしたか
    • Famlがやったこと
      • Attributeの最適化
      • 高速なRuntime Attribute Builder
    • Hamlitがやったこと
      • String Interpolationのコンパイル
      • 使われていない挙動の削除

以下、発表内で触れられなかったことについて書きたいと思います。

協力しています

同じ会社の人が別々に作って社内で競争しているように見えたかもしれないですがそれは気のせいで、Hamlitは完全に自分の勉強のための趣味プロジェクトとして作っていて、特に社内向けに作っていたわけではないです。

逆にFamlは社内のプロジェクトで使われているため、Famlのユーザーに影響のあるバグを発見した時に僕が直したりとか、Famlの開発初期の段階でKaminariが動くように対応したこともありました。

なので、業務レベルではHamlitを作った経験を生かしてFamlの開発に協力しているという状況であり、特に対立関係にあるわけではないというか、eagletmt先輩は会社では僕の教育担当です。

本家Hamlへの還元に関して

僕はOSSを改善する際は、社内モンキーパッチや野良forkを作るのではなく、元の実装を使わさせていただいたお礼としてupstreamに還元するべきだと思っていて、結構Haml本家を良くしたいという意思は強いです。

実際2ヶ月かけてHamlitをフルスクラッチしたときはパーサーを本家のものに置き変え、次のバージョンのHamlになるつもりで作っていたのですが、HamlにはTempleだと実装しにくい挙動があまりに多く、本家を一度に全てリプレースするのは途中で断念しました。

ただ作っている過程で、現在の挙動を完全に維持しつつ(FamlやHamlitまではいかないものの)ある程度高速化できそうなイメージがついたので、高速化の根幹となるTemple移行のプルリを出したのですが、まだマージされていないというステータスです。

今日Hamlコミッタの松田さんに聞いたところ、現在のメインのコミッタであるNormanしか基本的にマージボタンを押さない運用のため、彼が見るの待ちだそうです。

感想

eagletmtさんと一緒に発表の準備とかしたらテンプレートエンジンに関する面白い話や技術的に深い話が聞けるかなと思って一緒に発表しようと誘ったのですが、準備をしていくうち、本家の実装や仕様に対してどう思っていて何を考えてFamlを作っていたかが聞けてとても面白かったし、大成功でした。

その面白さの一部でも発表を聞いてくれた皆さんに伝わっていればよいなと思います。資料の修正や発表練習に協力いただいた皆さま、RubyKaigiを運営している皆さま、発表を聞いてくださった皆さま、そしてeagletmtさん、ありがとうございました!